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「そうさせたのは神自身だってことを忘れるな。最近は神の考えが優しくなったというのも聞いてたからな。何が本当なのかこの目で確かめたかったというのも、俺自身あったからな」
「……」
シシグアにそう言われて、テンカは黙ってしまう。シシグアは安堵したように表情を緩めて続けた。
「まあ、だが安心した。どうやら今の神はメメとヤルルだけじゃなく、俺のことも考えられるぐらい、広い視点を持っているようだ」
シシグアが顎をしゃくると、背後にいたメメとヤルルが頭を下げた。
「あの、ごめんなさい」
「ごめんなさい」
「これからも、彼らのために知恵を貸してくれ。同じ神同士な」
そう言って、シシグアたちは祠を去って行った。
航平が呆然としたまま彼らの姿を見送っていると、側にいたテンカがおもむろに口を開いた。
「申し訳ございません。神様。私がもっとあの獅獣のことを知っていれば」
「き、気にしないで。それに問題は解決できた、のかな? 最初から問題はなかったのかな?」
「いえ、神様は正しい判断をされたと思います。もし違う判断をしていたら、彼らに見限られていたかもしれません」
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