引きこもりの仕事

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 航平は狭い冷蔵庫に身体を完全に入れただけでなく、更に奥へと進み、行き止まりに着くと、その先には岩が進路を(ふさ)ぐように置いてあった。  それを手で押してさらに先に進むと、大きな空間が広がっていて、航平は立ち上がった。少しひんやりとしたその空間は、燭台(しょくだい)蝋燭(ろうそく)が辺りを照らしていたが薄暗く、空気は淀んだ感じであまり居心地がいいとは言えない。  航平がこんな場所に来たのにもわけがあった。  這っていたので、寝間着のスウェットが汚れてしまった。それを手で払っていると、奥の方から冷然とした声が聞こえた。 「お待ちしていました――神様」  航平の視線の先には若い女がいた。端正な顔立ちで、着物のような羽織を身に(まと)っている。どこか日本風の古い装いのようにも見えるが、幾何学(きかがく)な模様は派手で主張が激しい。シンプルで風情のようなものは一切感じられない。  子細(しさい)に見れば見るほど、あまり見ないタイプの装いだった。  それに女には二つの白い角が頭から生えていた。鬼を想わせるようなその外見は人に似つつも、人とは違う畏怖(いふ)の存在だった。
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