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「飛べはしますが、それほど得意ではありません。あの翼は硬いので、外敵を縄張りから追い払うのに使われたりします」
「そ、そうなんだ」
テンカにそう言われて、航平の頭の中は、洞窟の外がジュラシックワールドのような世界が広がった。恐ろしくて、すぐに考えるのをやめたが。
すると、短い髪の少女が長い髪の少女を指差しながら、航平に言った。
「神様。メメは嘘つきだよ。この間も畑仕事、サボって遊んでたんだよ」
その言葉に対抗するように、メメと呼ばれた少女も黙ってはいなかった。
「違います! 私は妹の世話をしていただけです! 遊んでいません! 遊んでいたのはヤルルの方です!」
「私はちゃんと仕事してたもん!」
「嘘つき! こっそり途中でいなくなったってお母さんに聞いたよ。どうせ退屈になって逃げたんでしょ。神様。ヤルルは怠け者なんですよ」
「ち、違うよっ! 疲れたからちょっと休んでただけ!」
二人の応酬は続いた。
その様子を見て、航平はアメリカの大統領選挙を思い出した。お互い相手のイメージを落として、自分に支持を求める姿がよく似ていた。
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