2人が本棚に入れています
本棚に追加
まだ子供なだけに微笑ましくもあったが、相手より優位に立つための手段を心得ていることに驚いてしまう。おそらく無意識だろうが。
「二人は家族なの?」
首を傾げる航平にヤルルがかぶりを振った。
「違うよ」
「ヤルル! 神様に失礼でしょ!」
メメが注意すると、ヤルルは咄嗟に両手で口を押えた。その仕草は失敗してしまったというのが、ぴったり合った。
ヤルルはメメと比べると少しやんちゃというか、奔放そうな感じで、それが口調によく現れていた。
航平は、気にしないでいいよ、と言ってから続けた。
「二人は友達なんだね?」
「……」
メメとヤルルはどちらも口を開かなかった。ただ否定しない辺り、友達なのは間違いなし、仲もいいのだろう。今はそれが素直に言えない状況なのだ。
航平は眠っているシシグアに視線を向けた。
「二人はそのシシグアが大切なの?」
『はい!』
即座に二人から返事があった。
どちらも獅獣に関しては譲るつもりはないようだ。
最初のコメントを投稿しよう!