引きこもりの仕事

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 その二人がこの祠に来た理由を、航平はなんとなく理解した。その理解が正しければ、あまり関わりたくないと思ってしまった。  そんな航平の内心を察したように、テンカが説明してくれた。 「二人がここに来たのは、どちらが獅獣を所有するに値するものなのか、それが知りたいからだそうです」 「……」  ああ、やっぱり。  メメとヤルルは二人では決められないので、神という上の立場に決めてもらおうとしたのだ。そうすれば、二人は納得するわけだが、そうなると航平はどちらかを選ばなければならない。  航平は決断するのが苦手だった。地方から東京の大学に進学したのも親の薦めで、将来のことを考えてそう言ってくれたので、素直に従った。  従ったというか、そうしたほうが楽だった。考えなくていい。高校の時も言われるがままだった。  元々、自分で何かをするよりも、誰かに指示される方が、体が動いた。親元を離れて過ごす大学生活は自由だった。  あれこれ言ってくる親もいない。地元の友達もいない。
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