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 帰宅後。  親父が冷蔵庫に作り置きしてくれていた袋煮を電子レンジであっためている間に、ベランダの洗濯物を取り入れた。  バスタオルやスエットなど大きな物を先にたたんでしまうと、あとが楽だ。  親父の黒い靴下をたたんでいる時、電子レンジのメロディが鳴った。 「腹減ったな~」  炊飯器からご飯をよそい、味噌汁は朝の残りを温め直して椀につぐ。  バラエティー番組を見ながら、一人で摂る食事にはもうすっかり慣れっこだ。  親父の袋煮はみっちりと鶏ひき肉と刻んだもやしが詰まっていて、ボリュームがある。  安くてたんぱく質が摂れて、腹もちもいい。  もぐもぐしながらふと、タンスの上の母さんの写真に眼がいった。    母さんの袋煮、食べてみたかったな……。     それは、願いというにはあまりにもさりげない想いだった。  だけど、神様は律儀にその願望をすくい上げてくれたらしい。  気が付くと、オレは夕暮れの川原に立っていた。
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