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「…確かにそうだけどさ。」
俺の手ををつかんでいた要の手が離れる。
怒ったような表情が寂しげなように変わった。
そんな顔させたいわけじゃないのに。
「わかった、やめるって。」
「いやいいよ別に。確かにお前の自由だし。」
そう焦ったように言う要を止める。
「その代わりさ。」
二、三歩要に近寄って後ろから抱きしめる。
良くないことだとわかっていて誘いをかけた。
「君が相手してくれないか。」
どちらのか分からない鼓動が聞こえる。
それがだんだん早くなっていった。
「まぁ、…いいけど。」
要は驚いたのか困ったのか少し間があってからそう言う。少しだけ顔が赤く染った。
この顔が好き。
にやけそうになるのを止め要の手を引く。
「じゃ、行こうか。」
どちらが先と言うまでもなく自然に足が要の家の方に向かった。
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