恍視点 10年後の今

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「…確かにそうだけどさ。」 俺の手ををつかんでいた要の手が離れる。 怒ったような表情が寂しげなように変わった。 そんな顔させたいわけじゃないのに。 「わかった、やめるって。」 「いやいいよ別に。確かにお前の自由だし。」 そう焦ったように言う要を止める。 「その代わりさ。」 二、三歩要に近寄って後ろから抱きしめる。 良くないことだとわかっていて誘いをかけた。 「君が相手してくれないか。」 どちらのか分からない鼓動が聞こえる。 それがだんだん早くなっていった。 「まぁ、…いいけど。」 要は驚いたのか困ったのか少し間があってからそう言う。少しだけ顔が赤く染った。 この顔が好き。 にやけそうになるのを止め要の手を引く。 「じゃ、行こうか。」 どちらが先と言うまでもなく自然に足が要の家の方に向かった。
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