青い春 2

3/3
前へ
/34ページ
次へ
お互いに黙ったままゆっくり階段を降りる。 事の重大さが沁みるように足音だけがやけに響く。 恍は今何考えてんだろうな。 恍の肩に手を回そうとしてやめた。 親友、の割にそんな事躊躇するのかとは思うけど。 そのまま不自然に2人で歩き空き教室に入った。 部屋の電気は付けられない、付けたくない。 恍がそっとその場にあった長椅子に腰掛ける。 「要、どうすればいい?」 恍は落ち着いた様子でそう言う。 何、お前余裕じゃん。 「そのままでいい。」 恍の上にそっと覆い被さる。 左手を首に回すと恍が寄りかかってきた。 お前もモテるし、案外慣れてんのな。 そう思うと何かが吹っ切れて、学ランのボタンに乱雑に手をかける。いつもは空きっぱなしの第1ボタンが、卒業式だからか珍しくしまっていた。 恍が誰と付き合ってるとか、誰と寝てるとか知らないけど、このボタン取ったの俺が初めてなんじゃね。 そんなくだらないことを考えつつボタンを解いた。 「君にしては全然喋らないね。」 「誰が減らず口叩きながらヤると思う?」 「親友なんだから、いいんじゃないか?」 親友。唯一の免罪符。 この距離感が普通じゃないのはわかってる。 でもまぁいいや。今は、考えたくない。 ダラダラになりながらもなんとなくお互いにその気になってくる。 ライトなものだったがあの日確かに俺たちは体をつなげた。 親友だからセーフ、という言い訳で。 自分の気持ちも殺して。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加