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エピローグ
美波と入籍して、二年経った。
俺は、大塚医院で週四日から五日過ごし、高岡の家に週二日から三日いる生活を続けている。相変わらず週休はゼロ日だ。
時々、美波が休みの日に高岡の方で休日をねじ込んだりはしている。
美波は高岡総合病院の小児科で、新米医師として奮闘中だ。
俺と同じで元来愛想がないくせに、美波は仕事となると素で明るい元気なお姉さんになれる。
美波が勤め始めてしばらくしてから、副院長として院内を見て回っていた時に驚いた。
別に何の審査でもないから予告はせずに、俺の姿を見つけて寄ってきた人間にも応対を断って、一人でふらふらと歩いてたんだけど、どこの元気なお姉さんだと思うような対応をしてた。
なんで俺の前であの笑顔が出てこないんだろうと、ちょっと微妙な気持ちになったのは秘密だ。
昨年の春、殿前高校サッカー部に興味深い二人が入部してきた。
北見拓人と澤田凌太郎。
まだまだ中学生みたいな甘ちゃんの二人だったが、酒井監督や上の学年の選手たちがうまく育てて化けつつある。
もしかすると、念願の古豪復活が目の前に見えてきているのかもしれない。
康成は今年大学四年生。
順調に育っている。
康成は、真面目なところは美波とそっくりだが、美波よりも俺よりも常識的な人付き合いができる奴だ。
おそらく、院長の後を継ぐのは康成が適任だろうと、俺は思っている。
何より、康成は精神年齢が高い。
幼いころから姉の背を追って、高校二年で自分の将来を決意したような奴だ。
もう十分、俺や高岡院長の支えにもなってくれている。
言葉にはしないけれど、院長も俺がそう思っていることは感じ取っていると思う。康成自身も、いずれ経営に携わる観点からどこで何を学べばいいかという相談を俺にも持ち込んできた。
俺の考えは伝えてあるし、院長や事務長にも話を聞くように進言した。
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