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新生活
願いは通じた。
次の日から、父は帰ってくることはなかった。
本当に死んだわけではなかったが、彼女と出ていったみたいだ。
女を取っかえ引っ変えしている父だったが、今までは全て遊びたった。
まさかそこまで本気の相手がいたとは。
しかし出ていってくれたのは、この地獄から開放されたことを意味する。
死んでくださいという願いとは違ったが、私にとっては同じようなものだ。
それから1週間後、私は孤児院に送られることになった。
「八重樫 亜希です。よろしくお願いします」
「はい、亜希ちゃんね。よろしく。分からないことはなんでも聞いてね。みんなで仲良くがこの孤児院のルールだから」
孤児院には十数名の子供がいた。私と同じくらいの女の子が一人と、後は全員年下の小学生くらいの子供たち。
私のように学校に通いっている子が半分。学校に行っていない子が半分。
孤児院の職員は5人。1人男性。4人女性だった。
全員40代前半くらいだろうか。
初日は慣れないことだらけだったが、職員の方が親切に教えてくれた。
同じくらいの女の子は、私と同い年だった。
名前は佐野 美佳(みか)。すぐに仲良くなった。
あどけない笑顔だったが、私に優しくしてくれた。
2日目の朝、手に痺れるような痛みが走った。
「おい、いつまで寝ている。もう4時だぞ」
何が起きているのか理解できなかった。
これは夢だろうか。
さらにもう1回手に痛みが走った。
「起きろ」
完全に目が覚めた。
女性職員が私の腕を踏みつけていたのだ。
状況は理解出来たが、気持ちは追いつかない。
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