15歳

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15歳

「15歳か……」 ふと、時計に目を向けると時計の針は、12時を回っていた。6月20になっていた。 今日は私の誕生日……。 もう寝よう。 「で、あるから、ここは連立方程式を使って…………」 1時間目から数学。最も苦手な科目だ。 先生の言葉が暗号に思えてきた。 だんだん睡魔が襲ってくる。 「……がし。八重樫。 八重樫 亜希(あき)!」 「はい! すみません」 「また寝てたのか八重樫」 「すみません……」 視線を時計に向ける。 20分近く寝てしまっていたようだ。 先生には申し訳ないことをしてしまった。 「亜希、あんたまた怒られてたでしょ。うちのクラスまで川野の声が聞こえてたわよ」 「まじ……?。恥ずかしい……」 クラスメイトに聞かれるだけでも恥ずかしいのに、まさか隣のクラスの友美にまで聞かれていたなんて……。 「亜希先輩また怒られたんですか?」 「ちょっと寝ちゃってね……」 後輩の結衣にまでバレてしまった。 恥ずかしい……。私が悪いから仕方ないけど。 「さ、全員揃ったし、そろそろ部活始めようか」 友美の声に、部員が全員注目する。 本坂友美は、この華道部の部長である。 「じゃあ今日はこの辺で終わりましょうか」 夕日が差し込む部室で、友美がそう切り出した。 「そうですね。先輩」 結衣もそれに同意する。 なにか違和感を感じる。 2人が私を見てニヤニヤしている。 いや、2人だけじゃない。部員全員が私の方を見ている。しかも若干笑顔で。 なんか気持ち悪い…… 「お開きの前に……」 友美が切り出した。
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