1人が本棚に入れています
本棚に追加
ある雪の日に、一羽の白いウサギの子が家から出てきました。冬になって、ねていることにあきてしまったのです。
「外はさむいや!」
そこで白ウサギの子は、お母さんが作ってくれたあたたかいふくをきて、お父さんが作ってくれたしっかりしたクツをはいて外に出ました。
「だれか、いないかなあ?」
あたりはまっ白で、だれもいないようです。
「そうだ、かくれんぼをしよう!ぼくがオニだよ。だれかを見つけるんだ!」
ウサギの子は、そばにある木のミキに手とあたまをくっつけて、数を数えはじめました。
「い〜ち、に〜、さ〜ん、よ〜ん、ご〜…」
まわりはしずかに雪がふる音がするだけでした。それでもウサギの子は十まで数えます。
「…きゅ〜う、じゅ!!…よぉし!」
ウサギの子はドキドキしながら、どこかにいるだれかを、さがしはじめました。
雪はしずかにふりつづいています。
「…きっと…もうだれも…」
白ウサギの子があきらめ、そう思って下をむいたときでした。
ガサガサッ
だれかが出てきました。
白い体、赤いまぁるい目。それに…
みどり色した長い耳。
「だれ!?」
「見つかっちゃった!ぼくもウサギ。雪うさぎだよ」
その雪うさぎの子は、みどり色の耳をピクピクとうごかして答えます。
「雪うさぎ??でも、ウサギなんだね!きみ、キレイなみどり色の耳だね!」
「ありがとう!」
「…でもきみ、さむくないの?」
雪うさぎはわらいました。
「ぼくらはさむいほうがいいんだ!」
「ぼくら?」
「さがしてごらん、ほかにもいるよ!」
雪うさぎは、とびはねてウサギの子にわらいかけました。
「行こう!」
二羽はなかよく走り出しました。
雪の上には二羽のあしあとができました。
最初のコメントを投稿しよう!