お隣さん

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『また会えないか』と川出さんからメッセージをもらって、私たちはお見合いがあった翌週の木曜日、仕事終わりに会うことになった。 小規模な事務用品店で事務職をしている私は、閑散期だとほぼ定時で上がることができる。 川出さんは7時くらいに仕事が終わるとのことで、私が川出さんの職場付近まで出向くことになった。 聞くと、勤務地は大企業が集うオフィス街にあるという。割と郊外にある私の職場からは電車で13本の場所だ。 車窓を過ぎ行く景色はどんどん都会になっていく。電車を降りると、駅には帰宅ラッシュの大波が押し寄せていた。 改札から吐き出されるように外へと出た瞬間、西日の眩しさに目を細めた。 夕日に照らされる高層ビルの内側では、今も何千人と労働を続け、何千台ものパソコンがフル回転で熱を発しているのだろう。建物の冷たく無機質な外観とは対照的で、何だか不気味だ。 川出さんは、この中のどこで働いているのか。私とは住む世界が違い過ぎて、本当にこれから会えるのか不安になってくる。 待ち合わせ場所は、駅から5分ほど歩いたところにある全国チェーンのカフェだった。 仕事を終えたサラリーマンたちの人波に逆らってオフィス街の中枢へと進んでいくと、ポケットからピコンと音が鳴った。 “仕事、意外に早く終わりました。吉田さんはもうこちらに来ていますか?” “あと数分で着きます” 最低限の返事を送り、スマートフォンを仕舞う。私はさっきより歩くスピードを上げた。 色鮮やかなタクシーや大型トラックが行き交う大通りの向こう側に、目標のカフェが見えてきた。
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