結婚相談所

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駅ビルの4階、美容やリラクゼーション関連のお店が並ぶフロアに、私が入会している結婚相談所の店舗がある。 四方を薄い白壁に囲まれた小箱のような個室スペースで、私は婚活コーディネーターとお見合い直前の打ち合わせをしていた。 入会時から専属で私を担当するコーディネーターは、いかにも世話好きそうな中年女性だ。 「吉田さんは今回が2度目のお見合いですが、調子はどうですか?」 「調子ですか……ぼちぼちです」 「今回のお相手の方はちょっと変わった人ですけどね、知的で思慮深い人ですので吉田さんと相性が良いと思うんですよ!もう私も太鼓判です!」 この結婚相談所のお見合いシステムは、登録会員のプロフィールデータから自らお見合い相手を指名する方法と、コーディネーターに相手を選んでもらう方法の2種類だった。 3週間前、まだ結婚相談所に入会したてだった初回は前者の方法を選んだが、そこで私は己の見る目のなさを突きつけられて終わった。 素人には自力でのお相手選びなど無理だったのだ。だから今回は、プロの眼識によって相性の良さそうな男性を見出だしてもらうことにした。
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