結婚相談所

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コーディネーターが小部屋を後にしたことで、いよいよ二人きりになる。 私は男性へ、あらかじめプリントアウトされた紙を差し出した。お見合い時の会話における命綱だ。 「私のプロフィールシートです。お願いします」 「では、僕からも」 男性からも、私が書いたのと同じ作りのシートをもらう。 氏名・ニックネーム欄には『川出』と苗字らしきものが書かれていた。 さて、何から話そうか。 「川出さん、特技はテニスなんですね」 「ええ、まあ……」 「ずっとされていたんですか?」 「そんな感じです」 開始前にコーディネーターが言っていた『知的で思慮深い』は、無口を仄めかしていたのだろうか。 プロフィールシートを読み進めて、会話の糸口を探す。 性格は控え目――よく分かります。 好みのタイプは一緒にいて楽しい人――現状、まず私は違うだろう。 相性のせいなのか相手側の気が乗ってないのか、驚くほど会話が弾まない。
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