結婚相談所

7/19
前へ
/270ページ
次へ
いくら空咳で苦しくても、頑なにコーヒーに手を付けようとしなかった事情はこれだったのだ。 潔癖という取っ掛かりによって、自然とこの男性に興味が湧いてきた。 「ご無礼を承知でお聞きしますが、潔癖なのにパートナーをご所望なのですか?例えば潔癖観が異なる女性とマッチングしても、却ってストレスが溜まりそうじゃないでしょうか」 「全くもってその通りなのですが、僕には結婚を目指すべき理由があるといいますか……前に進まないとなぁ、と」 この人にとって結婚は『したい』という意思ではなく義務なのだろうか。 根深い何かがありそうで、突っ込み難い。 黙っていたら今度は質問を返された。 「吉田さんはなぜ婚活を?まだお若いのに」 「私ですか?理由なら指折りあります。孤独死したくないし、相互扶助の安心感を得たい。あとは旦那さんと子どものいる普通の家庭生活を送ってみたいです」 「職場に良さそうな人はいないんですか?」
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!

265人が本棚に入れています
本棚に追加