59人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
《少しでもお礼を》
朝食を食べ、大学に行く敬大くんを見送って、早速空き缶集めにでる。
敬大くんの家のゴミ袋を一枚いただいて、この辺で集められるゴミ箱は把握しているから、そこを目指す。
7月も後半、朝でもかなり暑い。
公園の水飲み場で喉を潤し、次へ回る。
中身はどうにもならないが、敬大くんのTシャツと短パンを貸してもらっているから、見た目はそんなに見すぼらしい姿ではないはずだ。
「少ないな」
回収された後なのか、どのゴミ箱にも空き缶が少ない。
(これじゃ、交換してもらえない)
けれど、中途半端な空き缶のゴミを敬大くんのアパートに持って帰るわけにもいかないし…
(隣町まで行ってみるか、夕方には帰れないけれど夜には帰れるだろう)
いや、でも、敬大くんに帰ると約束したから…
急いで集めて…
少し早足で歩き回り、空き缶を集める。
「暑…、少し休憩しようか…」
滴り落ちる汗を拭いながら休める場所を探す。
しばらく快適な生活をしていたから、体力が落ちたか…なんだか身体がだるい。
橋桁の下の外界から見えにくい場所に腰を下ろし休憩する。
それにしても、下半身の筋肉痛…不思議な感じだ。
敬大くんとそういうことをしたんだな、と、夢ではないことを分からせてくれる。
敬大くんが身体に触れてきて、その熱い息遣いに触れると…熱がうつるというか、自然と気持ちが高ぶって…
私も…
(……、)
思い出すだけでトクトクと鼓動が速くなる。
50の男が、あんなはしたないことを…
普通は気持ち悪いと思われても仕方ないのに…
敬大くんは、大丈夫だったろうか…
私ので敬大くんの手を汚しはしなかっただろうか…
衝動を堪えようと思っていたが、無理だった…
ひとに触れられることが、あんなに気持ちいいことだったなんて…
「敬大くん…」
また、触れてほしい…敬大くんに…
そんなことを思いながら、うつらうつら眼を閉じる。
最初のコメントを投稿しよう!