《少しでもお礼を》

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《少しでもお礼を》

朝食を食べ、大学に行く敬大くんを見送って、早速空き缶集めにでる。 敬大くんの家のゴミ袋を一枚いただいて、この辺で集められるゴミ箱は把握しているから、そこを目指す。 7月も後半、朝でもかなり暑い。 公園の水飲み場で喉を潤し、次へ回る。 中身はどうにもならないが、敬大くんのTシャツと短パンを貸してもらっているから、見た目はそんなに見すぼらしい姿ではないはずだ。 「少ないな」 回収された後なのか、どのゴミ箱にも空き缶が少ない。 (これじゃ、交換してもらえない) けれど、中途半端な空き缶のゴミを敬大くんのアパートに持って帰るわけにもいかないし… (隣町まで行ってみるか、夕方には帰れないけれど夜には帰れるだろう) いや、でも、敬大くんに帰ると約束したから… 急いで集めて… 少し早足で歩き回り、空き缶を集める。 「暑…、少し休憩しようか…」 滴り落ちる汗を拭いながら休める場所を探す。 しばらく快適な生活をしていたから、体力が落ちたか…なんだか身体がだるい。 橋桁の下の外界から見えにくい場所に腰を下ろし休憩する。 それにしても、下半身の筋肉痛…不思議な感じだ。 敬大くんとそういうことをしたんだな、と、夢ではないことを分からせてくれる。 敬大くんが身体に触れてきて、その熱い息遣いに触れると…熱がうつるというか、自然と気持ちが高ぶって… 私も… (……、) 思い出すだけでトクトクと鼓動が速くなる。 50の男が、あんなはしたないことを… 普通は気持ち悪いと思われても仕方ないのに… 敬大くんは、大丈夫だったろうか… 私ので敬大くんの手を汚しはしなかっただろうか… 衝動を堪えようと思っていたが、無理だった… ひとに触れられることが、あんなに気持ちいいことだったなんて… 「敬大くん…」 また、触れてほしい…敬大くんに… そんなことを思いながら、うつらうつら眼を閉じる。
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