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《緊急搬送》
夜23時、バイトを終えて、急いでGPSを起動する。
「えっ!!まだ帰ってない??しかも、夕方と同じ場所…あずまさんになさんかあったのかも、」
それを確認してゾクリと震える身体。
不安になって、急いで自転車を走らせあずまの元へ急ぐ。
「あずまさん!あずまさんどこ!?」
GPSの指し示す場所について自転車を降り走って探し出す、橋の下まで降りていき…
「あ!!あずまさん!!」
そこには倒れこんでいる人影!
慌てて駆け寄る。
抱き起こすと…
「うそ、あずまさん!あずまさん!?」
(なんで、嘘だろ!)
ぐったりとして意識のないあずま。
顔や手足に擦り傷もある。
「あずまさん起きて!!」
「……ぅ、」
強く呼びかけると、顔をしかめるように微かに反応を返す。
「は、ッ、生きてる!良かった…でも、病院!」
殴られたとかじゃ無さそうだ…熱中症か?とにかく意識が戻らないなら危険だ。
すぐに携帯電話を取り出し、救急車を呼ぶ。
敬大はやってきた救急車に一緒に乗り込んで、病院へと向かう。
そうしてあずまは点滴などの処置を受け、病室に…
やはり熱中症と診断された。
病院のベッドには意識の戻らないあずま。
傍らの椅子に座って後悔する敬大。
(なんで俺はすぐ探しに行かなかったんだ、バイトなんかどうだって良かったのに、…あずまさん、ごめん)
医者の話では、
このまま放置されていれば命が危うかったけれど、適切な処置が出来て状態は安定しているから、あとは目が醒めるのを待つだけ…
でもつらい思いをさせてしまった。
もっと早く助けてあげられたのに。
(それにしても、GPS持たせてて良かった、あんな場所、GPS無かったら居場所が分からなくて手遅れになるところだった…)
本当に、命を救えてよかった。
あずまのそばに付き添いながら、改めて思う敬大。
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