黄色い自転車

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いつからだろう。その自転車を見たのは。いわゆる放置自転車である。黄色いマウンテンタイプだ。ゴミ置場にあるから多分、持ち主が捨てたのであろう。若しくは、盗まれて放置されたか、何れにせよ、放置された事実が、その自転車にはあった。数ヵ月はゴミ捨て場にあり、「持ってけないよ、これ。粗大ゴミ」と言った内容の貼り紙が貼られ、すわ根比べかと思っていたら動きがあった。別のゴミ置場に放置されているではないか。２、３００メートル離れた場所に。誰が移動したのか、これでまたこの自転車は、幸薄いこの自転車はじっと運命を待つのだろう。いや、そもそも最初にあった場所ですら、最初と言えるのだろうか。自転車よ、主のいない黄色い自転車よ、君は何処に行くのだろう。