噂される祟り

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岩太と細雪に姫依のことを打ち明けた後は、何事もなかったかのように解散した。 当然各々思うことはあるだろうが、姫依を責めるわけにもいかないといった感じだったのだ。  刻々と時間が過ぎ、放課後になると友絆は一人で帰ろうとした。 一週間前までは五人で一緒に帰っていたというのに、もう一人で帰ることに慣れ始めていた。  だが今日だけは先程の話を聞き心の奥底がモヤモヤとしている。 それは岩太も同じだったのか、教室を出ると自分を待っていたかのようにそこに立っていた。 「岩太? どうしたんだ?」 「友絆。 今から一緒に有純を捜しに行かないか?」 「え」 「水都みたいに、見つからないまま終わらせたくない」 「・・・」 ―――確かに、このまま時間が経ってほしくはないな。 ―――みんなにも有純のことは憶えておいてほしい。 そう思った時には自然と頷いていた。 「じゃあ行こうか」 「待って!」 歩き出そうとすると細雪に呼び止められた。 隣には姫依もいる。 「私たちも、一緒に行ってもいいかな?」 「・・・もちろんさ、一緒に捜そう。 各々荷物を家に置いて、動きやすい格好に着替えたら学校の正門に集合だ」 岩太の言葉を合図に一度解散をし、支度を済ませ再び学校へ戻る。 友絆が到着すると岩太が既に待っていて、その後細雪、姫依が二人共にやってきた。 「どこを捜すの?」 「やっぱり怪しいのは学校の裏の森だろ。 悪口を言われても有純は自殺はしないと思うけど、念のためにな」 「悪口を言われて自殺をした子は、みんな森で遺体が見つかっているんだよね・・・」 「見張りに見つからないよう、慎重に行こう」 立ち入り禁止のロープが厳重に張られている。 それでも有刺鉄線等で囲われているわけではないため、周りを警戒しつつ四人は無事森の中へと入ることができた。  まだ明るいため奥へ行っても大丈夫だろう。 見張りの警察からある程度離れると声を出して探し始めた。 「有純ー!」 「おーい! 有純ちゃーん!」 岩太が前を歩いている。 流石にこの森で手分けをするつもりはなかった。 「今は有純を捜しているけど、一応水都もいないか捜すんだぞ」 「水都・・・」 「水都が見つかったらラッキーだと思っておけ」 「ラッキーってそんな、不謹慎な・・・」 「喜んではいけないのか? 遺体が見つからず、そのまま忘れ去られる方が嫌だろ」 「確かに、それはそうだけど・・・」 ―――実際この四年間、誰も水都の姿を見ていないんだ。 ―――だから生きているわけ・・・って! 一番水都のことを考えていたのは友絆だっただろう。 だからこそ、森の危険に不用意に足を踏み入れてしまう。 「うわぁッ!?」 「友絆!?」 足を滑らせ小さな崖から落ちてしまい、落ち葉の上を転がった。 「いったぁ・・・」 「大丈夫か!?」 「何とか・・・」 それ程高さがなかったことが幸いし怪我はしていないようだ。 「上がってこれそう?」 「・・・一人だと無理かも」 不安気に尋ねてくる姫依にそう答え、もう一度辺りを確認する。 崖はかなり急な坂だった。 岩太が焦り出す。 「マズいな・・・」 「俺は平気だよ。 このまま進むから、もし上がれそうな場所があったらそこで合流しよう」 「・・・分かった。 何かあったら大声で叫ぶんだぞ?」 「あぁ」 もしかしたら自分が進む方向にいる可能性もある。 そうして別行動を開始した。 「おーい、有純ー! いたら返事してくれー!」 ―――・・・有純の姿も一週間も見ていないんだ。 ―――だから水都と同じように・・・。 ―――って、そんな考えは駄目だ! 悪い方向へ考えてしまう頭を抱えつつ進んでいると深い霧が見えてきた。 ―――どうしよう、引き下がるか? ―――でも戻っても有純はいないだろうしな・・・。 勇気を出して霧の中へ足を踏み入れていく。 しばらく進み腐りかけた倒木を越えた先で、大きな祠の前に一人の少女を発見した。
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