未来へ

『介護ロボットの作り方』と題されたものは、確かあのタンスの引き出しにしまったはずだ。

　私は引き出しを開けそれを取り出した。

　だいぶ年季の入ったもので、ところどころ黄ばんで読みづらいが、それでも全容は読み取れた。

『介護ロボットの作り方』

一番最初のところに
・ここで記した介護ロボットの寿命は八十年である
　と記載されている。

　それ以降は介護ロボットの作り方が延々と記されていた。

　ご主人様から渡されたものであるが、なぜ私に渡されたのかは理解が出来なかった。
　ご主人様を看取ったら、今度はお前の番だ。寂しければ介護ロボットを作れ。と暗に言われている気がした。
　ロボットの私に寂しいという感情はわからないが、言葉だけは知っている。

　私はご主人様の介護ロボットであり、それ以外ではない。