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ついに、ご主人様が明日の0時に息を引き取る。
しかしここ一週間考えてみた。
未知なるウィルスが人命を奪う明確な時間がわかるだろうか。
わからないはずだ。
未知なるウィルスならば、今日死ぬかもしれないし、明日死ぬかもしれない。1年経っても死ぬ気配すらない可能性だってある。
なんと言っても明日はご主人様の八十歳の誕生日だ。誕生日と命日が一緒になる。
私はご主人様から貰ったレシピを眺めた。
『介護ロボットの作り方』
自分を介護するロボットを作り出すことしか書かれていない。
しかし、ふとある思いがよぎった。
もし、ご主人様がこれで私を作ったのだとしたら。
先代からこのレシピを受け取り、一人でいることが辛くなったのだとしたら。寂しくなったのだとしたら。
制作期間は四十年と書いてある。
私の寿命は残り七十年。
作成を始めるのなら、残された時間は三十年ということになる。
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