230人が本棚に入れています
本棚に追加
可愛い？
【直人side】
あ。今日も見つけた。
「佐藤、おはよー！」
「…はよ」
「今日もねむそー」
「あー…試合の録画見てたら遅くなって…」
「何時に寝たの？」
「…2時」
「えーだめだってー 母さんが、22時から2時の間が成長ホルモンってやつがでるから、なるべくそこは寝なさいって。 大きくなれないぞー…って、お前はもう、大きいのか」
途中で、気づいて、苦笑いを浮かべる直人。
「…ていうか、佐藤、何センチ？」
「167」
「でかっ」
「お前は？」
「148。あとちょっとで150になるんだけどー…」
言いながら、はっと気づく。
「19センチも違うの？ っおかしくない？」
「んー、オレ、小学校ん時は、一番でかかった」
「え、1年でも一番でかいでしょ？」
「いや、他のクラスにもっとでかそうな奴いた」
「そうなの？ 何くえばそんなおっきくなるんだよー、しかも夜更かしまでしてさー、ずるくねえ？」
じー、とちょっと睨みつつ。
いいなー、背ぇ高くて。足長くて。イケメンで。
ずるい。
【怜side】
「ずるくねえ？」
と言ったきり、なにやらちょっと膨らんで、むむうーーと、見上げてくる。
「…ずるくはないだろ…」
「いやいや、ずるいし」
「――――…ま、その内、のびるだろ」
笑ってしまいながらそう言うと、ますます、むっとしてる。
「いつか、追い越して、見下ろしてやるー」
「…は。 無理じゃね？」
「わかんないだろっ」
「――――…つか、オレ、なんとなくお前に見下ろされるのは嫌だな」
「え」
「…いいじゃん、この位で、オレの下に居ろよ」
思うままに、言ってたら、そんな言葉になった。
「くーーー、むかつくーーー」
下から、きっと睨んでくる。
ふ、……可愛い。
「――――……」
あ？
――――……オレ今何思った？
「……佐藤、どうした？？」
あまりに固まってたら、怒ってたのも忘れて、直人が首を傾げて、怜をのぞき込んでくる。
「何、どしたの？」
「いや。全然。何でもない」
「全然なんでもないって… なんだよ、それ」
ぷぷ。
おかしそうに笑ってる。
――――…だー、守のせいだ。
可愛いとか、植え付けんな。
バカ守。
(2020/12/29)
最初のコメントを投稿しよう！