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【怜side】
家に帰って、シャワーを浴びてから、スマホを手にした。
守に向けて。
「小坂直人のライン、教えて。本人は了解済みだから」
そう送った。 少しして、返信。
『なになに、仲良くなった?』
「とりあえず一緒にサッカー部体験いった」
『おー、そっか』
「あと体育が一緒で耐久マラソンとか一緒に走ったり、朝も道で会うし、なんかよく絡む」
『へえ。一緒にマラソンかー。 あいつちっちゃいのに、超がんばるだろ?』
「…そーだな」
そう送ると、すぐに、直人の連絡先データが、ぽん、と入ってきた。
画面を開いて、友達登録を済ませる。
『ちゃんと可愛がってる?』
「…いじめてはねえよ」
『ははは。そっか。じゃオレ夕飯だからじゃーなー』
「サンキューな」
守との画面を閉じて、直人を開いて、「hello」というスタンプを押す。
3秒後。既読がついたと思った瞬間、一言。
『怜?』
「早すぎ」
返すと、
『今ちょうどラインみてたから』
と入ってきた。
『何か怜からメッセージ、超うれしー』
――――…返答に困るな。
数秒返さずにいると、すぐに続きが届いた。
『筋トレのメニュー教えて? オレ今日からやるから』
「ちょっと待って」
怜は、立ち上がって、カメラを起動すると、机の端に入ってるトレーニングメニューを写真に撮って、直人に送信した。
「基本はこれ。回数は、10回とかから始めて、慣れたら増やしていけばいいから。あとは、風呂上がりにストレッチ」
『ストレッチって決まってる?』
「サッカー部でやってた?」
『うん、ストレッチは練習の後絶対やってた』
「それと一緒でいいよ」
『うん、わかった!』
その言葉のすぐ後に、ありがとうの笑顔スタンプ。
犬がめっちゃ笑ってる。
「犬好きなのか?」
『あーこれは… スマホ初めて持って、スタンプ3つ買ってくれるって母さんが言ってくれた時、守がさ、オレに似てるから絶対買えって』
――――…確かに、似てる。
「お前、犬っぽいもんな」
少し笑ってしまいながら入れると、「どういう意味?」と聞かれる。
「見たまんま。 後ろから朝走ってくるとことか。そのまま」
『あんま良い意味じゃない気がする』
じと目の犬が送られてきた。
「可愛いってこと」
そう送ると。
『可愛いいうな!』
すかさず入ってきた、その言葉。
ぷ、と笑ってしまう。
ラインまで、元気だな。
【直人side】
帰ってから、シャワーを浴びて、速攻ご飯を食べた。
仕方なく、英語の宿題をやっていたのだけれど、なんとなく気になって、スマホを手に持った。
怜、忘れてんのかなあ。
あとで送るって言ってたのになぁ…。
と、瞬間。
新しいメッセージが届いた。
名前は、「REI」となってた。
友達に追加して、すぐに、「怜?」と送ってみた。
すぐに返事が返ってきてくれて、メッセージをやりとりする。
結局割とすぐに、怜が食事に呼ばれて、やり取りは終わった。
なんか、嬉しいなあ。
怜と繋がったの。
送ってくれた、筋トレのメニューの画像を開く。
白い紙を取り出して、書き写していく。
これやったら、怜みたいにキレイに筋肉、つくのかなあ。
まだ中1だし、そんな筋肉なんかつくとは思ってなかったのに、今日着替えの時に目に入った怜の腹筋は、すごく綺麗で。いいなーと思ってしまった。
怜って、カッコイイ。
――――…なんか、色々。
オレ、ついてこーっと。
とりあえず、表示名のREIがかっこいいので、自分も、NAOTO に変更してみたりした。
(2021/1/10)
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