神様は具体的な説明をご要望だ

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神様は具体的な説明をご要望だ

「神様、お願いだ! 彼女を助けて下さい」 「……」  王宮の近くにある、教会の聖堂。  頭上高く両手を合わせて、神に祈りを捧げるウォーム村の若い男がいた。 「お願いします。もし彼女を助けて下さるなら、オレは、オレはどうなってもいい」  合わせた両手はそのままに、前屈みになると床にへばりつく勢いで土下座をして神様にお願いした。  すると、 「あのさ、彼女を助けてあげるからさ。具体的に言ってくれない?」  男がいる場所より少し高い中央にある両開き扉奥から高い声が聞こえて、男は驚いて仰け反った。 「あ、しゃべった……?」  その両開き扉を挟んで左右にある聖画像をぽかんと口をあけて凝視する男に、 「しゃべっちゃ悪い?」  素っ気ない返事がした。 「あ、……いいえ! いいえ! 彼女を助けて下さるんですね! ありがとうございます」 『神様』の機嫌を損ねてはいけないと思い、男は慌てて感謝の言葉を口にする。 「いや、あのさ、あんた端折りすぎ。まだ助けてもいないのにお礼言う?」 「ああ、いやでも『彼女を助けてあげる』と言って頂けるだけでも神様にお願いした甲斐があると言うものです」 「ふうん。お手軽な男だな。で、まずさ彼女って誰のこと?」  おたおたする男とは対照的に、扉奥の声は落ち着き払った様子で先を促した。 「ああええ、お話しします。彼女というのはこの村に住むオレの好きな女性、ナタシャのことです」 「好きな? あんたの片想いの相手?」  扉奥から耳障りなカンカンと何かを鳴らす音とともに、特に感情のこもらないような声が聞き返してくる。 「え? あ、いやあ。片想いじゃないはずです。ナタシャもちょっとは、オレに好意を持ってくれてるはずで」  あの甲高い音は何だろうと、男は不思議に思いながらも頭の後ろを掻いてそばかすのある頬を赤らめる。  だが中央の扉奥ごしに感じる反応は薄い。
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