他力本願寺

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 寮監の目を盗んで校門をぬけ出してから、ずっと、冬の雨が降っている。  私はずぶ濡れになって途方に暮れる。ここはどこだろう。  視線を降りしきる雨につられるように上げてみれば、目の前の枯れ木が目立つ山陰に、寺らしき建物があった。あった……寺だ……。  あそこに行けば、行けば。  ……神様、いや、仏様が私の願いを叶えてくれるかも知れない。
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