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私はひと思いに願いを吐いた。
「……死にたい」
「ほぅ?死にたい、とな」
「学校で虐められているの。誰も助けてくれない。そのうえ朝から晩まで授業で、先輩たちからは始終叩かれる。全寮制だから、簡単に家にも帰れない。そもそも、両親は私が良い学校に行くことしか興味ないし。もう死にたくてたまらない」
私は溜めていた思いをぶちまけるように、老婆に喋りまくった。
「舶来かぶれの学園長だから、あそこでの神様は仏様で無いの、キリスト様があそこでは私の神様。でもね、キリスト様は自分で命を絶つことは受け入れてくれないんですって。だから、私、仏様ならもしかしたらご慈悲で命を絶たせてくれるかとここにきたのだけど……」
……そこまで一気に言葉を吐くと、一息ついて、私は呟いた。
「……ここの仏様は、ちょっと違ったみたいね……」
老婆は黙って私の話を聞いていたが、一部始終を聞くと、のんびりとした、でも厳しい口調で私に向き直った。
「それは難しい願い事じゃな。ここは仏を祀れど、他力本願寺だからな。ということは、まず、自分で命を絶つことはもってのほかじゃ。それでも死にたいというなら、他人の力を待つのだな」
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