プロローグ

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プロローグ

 俺には生涯のライバルがいる。幼馴染で俺と同じ高校二年の黒瀬みなみ。名前からして女の子っぽい感じがするが、男だ。この目で確認もした。案の定俺と同じ下半身の持ち主だった。今でもそれで、絶望したのを覚えている。何故なら、俺は子供の頃、許嫁と幼馴染が同義だと思っていた時期があり、本気でみなみと結婚するとだと思っていた……若気の至りというやつだ。  みなみは、中肉中背というには少し背が低い。しかし、中性的な表情を感じさせるまつ毛の長さや、眉の整った形などから美青年と言える。そして、なんといっても髪の毛が綺麗だ。キューティクル研究所にでも通っているのではないかと思うほどにまとまっており艶やかで、濡羽色を連想させる漆黒のショートヘア。また、言動や表情が穏やかで優等生みたいな印象だ。    暇さえあればみなみに勝負を挑んだ。みなみと勝負すると、一勝すれば一敗するというように勝敗の数がが釣り合ってしまう。  だから、いつからか俺たち二人はdraw twoと呼ばれるようになった。みなみはダサいしUNOじゃんといってこの呼ばれ方に否定的だが、俺は気に入っている。何を隠そう、そうやって呼ばせるように仕向けたのは俺なのだから。かっこいいだろ。小三の俺を称賛したいぜ。  というように、俺たちは子供の頃から何度も勝負をしてきては勝ち負けを繰り返した。
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