家族になりきれない人達

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幸人にお粥と野菜の離乳食を少量用意した。準備が整い、「ごはんです!」とみんなに声をかけた。 「あら〜、久しぶりじゃないのー。グラタンって。いい匂いがすると思ったわー!」 嬉しそうに幸人を抱っこしながら義母が言った。 「ええ。私も働きに出るとなかなか手の込んだものも出来なくなりますし……。だから今日はゆっくりと作ってみました!」 と、凛子が言った途端義母の眉間にシワが寄った。 「あの、お義母さん?」 「……凛子さん。」 義母は静かに幸人を凛子に手渡しながら言った。 「はい?」 凛子はトントンっと幸人の背中を撫でる。 聡はワインを開けていた。 「あのね、もう1度きちんと言おうと思ってたんだけど、働きに出るのは反対よ。」 「あ、聡さんと話をして今すぐにっていうのは辞めました。なのでフルで働くのは幸人が1歳になってからになると思います。」 凛子はニコッと笑った。悪い話では無いはずだ。だが、義母は言った。 「あのね。保育園じゃなくて幼稚園にいれたらどうかしら?」 「えっ……」 「少しづつにして、空いた時間は家のことを手伝たりしてほしいわ。あなたにきちんと覚えて欲しいことが山ほどあるの。」 「なんだよ、母さん急に。覚えてほしいことってなんだよ。」 聡が口を出した。 「お墓のこと、婦人会のこと、仏壇のこと。山の管理や集落排水のこと。それから庭周りもね。私が元気なうちにここの嫁としてやって欲しいの。」
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