家族になりきれない人達

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「仏壇のことっていうの、は……?」 凛子は咄嗟にプチパニックになった。 何を言っているんだろう?この人は? 「きちんと真言宗……読経をしてほしいの。朝はロウソクとお線香、炊きたてのご飯……月命日には赤飯」 「母さん!」 聡が大きな声でさえぎった。 「いい加減にしてくれよ。そんな時代じゃないだろうに!」 「聡、こういうのをきちんとしないとね、家が途絶えてしまうのよ。」 「俺たちがやったって幸人の時代にはこの集落はなくなってるよ。みんな若い人たちは都会の方に行くだろ。」 「幸人には大学は地元で。遠いところに行かれたら帰ってこなくなるからね。」 凛子はびっくりした。 「あの、お義母さん、幸人には幸人の人生がありますし、本人が決めることだと思います。」 静かにいった。ここは譲れない。 義母は明らかに言ってることがおかしい。 「あなた達2人は甘いのよ。このご先祖さまが代々大切にしてきた土地と家をなんだと思ってるの!」 義母は珍しく声を荒らげた。 「いつまでそんなこと言ってんだよ!もう、我慢の限界だ……俺はこの家を出ていきたい。」 その言葉に義母は大きく目を見開いた。 「何言ってるの……聡……そんなこと許されるわけないでしょ。あなたは長男なのよ。」 「死んだ人間のために自分の人生犠牲にして何が面白い!もっと凛子や幸人の為に俺は生きていきたいんだ。」
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