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「それでは改めまして、乾杯!」
お友達は『佐伯綾』と言い
お姉ちゃんの高校の同級生で
祥子さんの元カノである
という事実を、お姉ちゃんにコッソリ聞いた
「その節はお世話になりました」
綾さんは笑顔で言う
「いえ、私は何もしてませんから」
ゆきちゃんも笑う
もっと剣呑な雰囲気になるかと思ったら
普通だなぁ
お酒も入って、和やかな雰囲気に。
(心の中は知らんけど...)
そんな中
「ねぇゆきちゃん、祥子のどこが好きなの?」
へ?お姉ちゃん?
「それ、一美が言う?」
綾さんがニヤニヤしながら言う
たぶん、3人とも同じこと思ってる
お姉ちゃんも祥子さんのこと好きだった時期があるってバレバレだから
「え?違うよ!私はそんなんじゃないよ」
「はいはい」
「じゃぁ、ダメなところは?」
と、言ってみる
「いいねぇ、ダメだし大会」
と、綾さんが乗ってきた
そして
「しょうは、基本ヘタレだよ」
と言う
「え?そうなの?」
「そうだよ、ね?ゆきちゃん」
「まぁ、家では、そうかも。病院では違いますけど」
「仕事はちゃんとやってるんだねぇ」
そーなのか、私はかっこいい祥子さんしか知らないや
「思ってること言わないから、分かり辛いし、面倒臭い性格じゃない?」
「超絶、照れ屋ですね。言わなくてもだいぶ分かるようになってきましたけど」
「ゆきちゃん、甘やかしてるなぁ。ちゃんと言わせなきゃ!ちゃんと『好き』って言ってる?」
「あ、それは・・・」
「やっぱ、言ってないかぁ」
ダメダメじゃん
「高校の時はどんな感じだったんですか?」
「あ、それ、私も聞きたい」
「勉強は出来たね」
「でも、ただの優等生じゃなかったね」
「どういうこと?」
「ひねくれてた」
「そういえば、優等生って言われるの嫌がってたね」
「曲がったことが嫌いだから、先生にも食ってかかってた」
「だからモテてたのか」
「綾の方がモテてたじゃん」
「そうだっけ?」
「バレンタインのチョコ、どれだけ貰ってたの?」
「数えきれん...」
「あ!」
ゆきちゃんがスマホを見てる
「ひねくれた優等生からです」
席を外そうとするゆきちゃんを制して
電話を取らせる3人
「もしもし...今?飲んでる」
小声で
「ゆきちゃん、祥子呼びだして!」
「え?」
「ごめんしょうちゃん、折り返す」
一旦、通話を切るゆきちゃん
「迎えに来て!って言えば来るんじゃない?」
「どうかな?」
「何?私に会わせたくない?」
綾さんが挑発する
「そんなことは...」
ちょっと考えて
「電話してきます」と席を外した
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