鍋パ

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最後に、唯ちゃんが一人暮らしをしているというアパートへ 「良かったら、コーヒーでも飲んで行きませんか?」と誘われるが 「もう遅いから、ここで。ありがとう、気を使ってくれて」と断る 「そうですか、ちょっと話したいことがあったんですけど」 「どうしたの?」 「綾さんと一美さん、付き合ってますよ?今日もこれから会うんだと思います」 「...そう」 「驚かないんですね?」 「私がとやかく言うことじゃないよね?それに…唯ちゃんが私にソレを伝えることじゃないよね?」 「それは…祥子さんのためを思って」 「んん?何が私のためなのかよくわからないんだけど。私が傷つくとでも思ったの?2人とも大切な友達だから、幸せになってほしいと思ってるよ。でも、それは2人が決めることだから」 「そう...ですね」 「それから、今日、綾のこといろいろ話してたけど、わざとだよね? 私と、ゆきのこと知ってたんだよね? あんまり、人の気持ちを弄ぶようなことはしない方がいいよ。仮にも医師を目指すなら、人と真摯に向き合ってほしいな」 しばらく考えていた唯ちゃんは 少し顔を赤くして 「すいませんでした」 素直に謝ってから 「でも、私、祥子さんが好きなんです。好きだから、つい、試すようなこと言っちゃって...ゆきさんにも...ごめんなさい」 「うん、それは…たぶん憧れとか..じゃないかな?ずっと会ってなかったし、歳だって離れてるし...」 「最初はもちろん憧れでした。綾さんともホントにお似合いで。だから諦めようとしたんだけど。でもいつか一緒に働けたらって。医学部目指す程には本気で。ずっと会ってなかったけど、それでも気持ち変わらないことありますよね?実際、今日会って話して、やっぱり好きだと思いましたし。歳の差とか、関係あります?」 うぅ、反論出来ない いちいち、ごもっとも ずっと会えなくても、気持ちは変わらない。 その事は私が1番知ってる ひとめで恋に落ちることも。 人を想う気持ちを、軽々しく決めつけるものじゃない 「そうだね、ごめん。気持ちは嬉しいよ。でも私にも大切な人がいるから唯ちゃんの気持ちには応えられない」 「諦めません」 「唯ちゃんには、もっと相応しい人がいると思うよ」 「それを決めるのは私です」 「うぅ...確かに」 はぁ。ため息を一つ吐いて 「好きな人を困らせたくないので、今日はこの辺で。また、そのうち告白しますので」 と言う 「うん、わかった。その都度振ってあげるよ」 真摯に向き合わなきゃいけないのは、私の方だ
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