沈丁花

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その和室には沈丁花の香りが充満していた。 和室に似合わぬ頑丈な固く閉ざされた扉の中の部屋の真ん中。 綺麗な白髪に翠色の目の美少年が布団から上半身を起こして本を読んでいた。 彼はこの離れを出ることが出来ない。 彼の父親によって禁止されているからだ。 彼の、沈丁花の香りは余りにも強すぎた。 彼がその場に居るだけで香りに酔ってしまうのだ。 だから彼はいつも1人。 外に出ることも出来ずにただ1人でいるのだ。
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