魔法学校の先生は目が死んでいる

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「今じゃ国が率先して私みたいな普通じゃない存在を保護してくれるんです。それで私は問題ある親から隔離され、普通の女の子みたいに学校に行って、先生になる事もできました。昔の私みたいな子供がもう現れないって、サイコーじゃないですか」 「……まあ、その言い分はわかりますよ。魔法使い側からしてみれば、自分がやっと普通になれるってことなんだから。問題はアレですかね」 「問題?」 櫻田は再び職員室の窓から外を指差した。指先は敷地外。正門前に向けられている。そこにはマスコミらしき一団と、大きな声を上げる団体がいた。 『魔法使いはいらない!』 『詐欺師を育てる学校はなくせ!』 などと書かれたプラカードを掲げていた。 「魔法使いアンチ。いわゆる昔からの普通な人達が、魔法使いに権利を与えないようにと主張する。国は魔法使いに金を使うより先に福祉や普通の研究分野に金を使えと」 「ああ、いますよね、魔法アンチ。でもあんなの、魔法を使えない人間の僻みですよ。差別してきた側が急に時代が変わって叩けなくて騒いでるだけっていうか」 「……そう言って、相手の主張を僻みとして聞かないのも差別だと思うけどね」 櫻田のつぶやきは菊池には理解できないようだった。突然外国語でも聞いたようにきょとんとしている。きっと彼女はなぜ希望あふれる魔法学校に絶望した教師がいるのか、謎に思っているようだ。 「……櫻田先生って、なんで教師になったんですか」 「一人でも魔法に夢見てる生徒を現実に戻すため、かな」 やはり理解できないという顔をして、菊池は顔をしかめる。しかし顔をしかめたまま、びくりと震えた。これは未来予知のサインだ。 「あ、今未来予知来ました。櫻田先生は近いうち、生徒にめちゃくちゃ慕われます。こう、クラス名を叫んだら生徒たちがわっと集まるような」 「なんだその学園ドラマみたいな展開は。しつけ糸もわからない予言者なのに信じられるか」 「私の未来予知はふとした時にくるんです。これで何億も稼いでたんだから信用してください」 億。その数字により櫻田は少しだけ驚く。しかし櫻田が呼べば集まるほどに生徒達に慕われるなんてありえない。なにせ魔法学校の教師でありながら非常に冷めた性格をしているし、やっぱり目が死んでいる。 職員室に教頭が駆け込んで来た。品質のいいスーツは崩れ、息を切らしている。明らかにただ事ではない様子に教師達は注目する。 「た、大変です! ネット上に我が校の爆破予告が!!」
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