魔法基礎

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百花魔法学園高等学校の授業と言っても、それは普通の高等学校のものと変わらない。 生徒達は一定の出席や成績で高卒資格が取れる。しかし魔法の科目は思っているより少ない。この国は魔法を科学技術獲得のために使うつもりのため、普通の学校より化学や生物などの授業が多いくらいだ。 そんな中、明らかに魔法の事しかやらないであろう、『魔法基礎』の授業がる。 その科目に生徒達は期待していた。この授業では魔法の使い方をメインに習うかもしれない。杖を振り呪文を教えてもらえるかもしれない。 しかも担当教師は入学式での爆弾テロを防いだヒーロー、櫻田賢二先生だ。 愛想笑いなんてしたことのないような表情筋に、死んだ目、ボサボサ長髪をひっつめた頭、威圧感ある長身痩躯、服はドブ色のファストファッション、というヒーローらしさのかけらもない容姿だが、人を見かけで判断してはいけない。きっとすごい先生なのだろうと生徒達の期待は高まっている。 教卓を中心に階段状に作られた講義室。百人は入るその部屋に、魔法学園一年生八十人弱が櫻田の登場を待っていた。 その櫻田がマイクを持って現れ、猫背のまま教壇まで歩き、マイクのスイッチを入れた。 『えー、魔法基礎の櫻田です』 名前は講義室内に響いたが、その名を知らないものはこの講義室にはいない。 さてヒーローはどんな授業をするのか。生徒達は次の言葉を待つ。 『お前ら、なんでこんな学校来ちゃったの?』 生徒達は耳を疑った。ため息混じりの呆れるような一声だった。 『この学校には魔力検査と学力試験による入試を受けて入るか、魔力が膨大すぎて暴走気味だからこの学校で保護としての入学かだ。後者はまだいい。彼らはここしか居場所がないのだから。問題は前者だ』 その二つは入試組、スカウト組、と生徒間では名付けられているらしい。入試組は文字通り入試を突破した者たち。スカウト組はその呼び方とは少し違うが、魔力が大き過ぎて普通の学校に通えないため保護として百花にいるしかできない者達。ちなみにスカウト組は少ないし、こうして直接授業を受けることもできない生徒が多い。リモート授業などで出席しているらしい。 『魔力検査は基準値より高ければ学力試験を受けれる。まぁ、魔法学校って言っても魔力よりも学力を重視したい学校だから魔力検査の基準値は低く設定され、その中から成績上位者が合格するためちょっとした進学校レベルになりつつある。そして今君達はここにいるわけだが、』
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