第十六章 家族

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 オフィスの来客用のテーブルで、倉崎は青葉に言った。 「君がここに来たということは、安藤家から出て行先を失った、と思っていいんだね?」 「いえ、行先、というか。保護してくださった方はいらっしゃいます」  こちらの、七浦さんです、と青葉は芳樹を紹介した。  芳樹の挨拶と手渡した名刺に、倉崎は背筋を伸ばした。 「あのナナウラホールディングスの、七浦さん!?」  では、この封書は開ける必要はないのでは、と倉崎は言う。 「いいえ、父が残した秘密を、僕は知りたいんです。お願いします」 「そこまで言うなら。加古さんからは、君のことをくれぐれもよろしく、とお願いされていたし」  倉崎は封書を開けると、書かれている文字を目で追った。  読み終えると、青葉をじっと見つめた。 「ここには、君の出生の秘密が書かれている」 「僕が、父の所へ養子に来る前のことですか?」  それを知っているなら話は早い、と倉崎は指を組んだ。 「結論から言おう。青葉くんは、帝都銀行頭取・土門 豊氏の息子だ」  青葉と芳樹は、息を呑んだ。 「もしかして、双子の兄弟がいたりしますか?」  なぜそれを、というような目で倉崎は芳樹を見た。 「確かに、その通りです。青葉くんは、土門氏の双子の息子さんです」  気づくと、青葉は芳樹の腕を、震える手でしっかりとつかんでいた。
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