第十六章 家族

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 思ったことはハッキリと意思表示する、怜。  かたや、一歩下がって行動する、青葉。  育った環境で、双子の兄弟には明らかな違いが生まれていた。 「今度は私の方から、お誘いするよ」 「お待ちしています」  は、と芳樹は怜のまなざしに目を奪われた。  甘くて熱いその視線は、青葉のそれによく似ている。 (好感を持ってる、とは言ってくれたが。まさか本気じゃないよな)  怜は待たせてあったリムジンに乗り込むと、笑顔で芳樹と別れた。  その笑顔はやたら無邪気で、芳樹の胸をチクリと刺した。 「怜くん。私にはもう、将来を誓った人がいるんだよ」  そしてそれは、君の双子の弟なんだ。  言葉は、走り去った怜には届かない。  ただ、冷たいホテルの駐車場のフロアに、染み入るだけだった。
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