第十八章 スウィート・バレンタイン

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 寝る前の検温では、青葉の体温は38度4分だった。 「芳樹さん、よかったら今夜……」  もじもじとパジャマの裾をいじる青葉の気持ちは、痛いほどよく解る。  だがしかし。 「ダメだ。我慢しよう、お互いに」  青葉が発熱してからこっち、二人はセックスを封じていた。 「じゃあ、僕がフェラするだけでも」 「ダメダメ。私が我慢できなくなる」  しゅん、と枕を抱く青葉を見ると、後先考えずに押し倒したくなってくる。  芳樹はぐっとこらえて、青葉の熱い額にキスをした。 「明日病院に行って、ちゃんと診てもらおう。市販の解熱剤なんかに頼ってちゃいけない」 「はい」  ベッドに横になり、明かりを落とした。  芳樹は、青葉の身体を抱きしめ、口づけた。 「ん、ぅん。芳樹、さ……」 「今夜は、これでおしまい。腕枕してあげるから、よく眠るんだぞ」 「いい夢が見られそうです」  大人しく青葉は芳樹の体に寄り添った。 (しかし、このところ青葉は寝汗がひどいな)  夜中に起きて、シーツやパジャマを替えることもしばしばだ。  これも明日、医者に話した方がよさそうだ。  そう考えながら、芳樹は青葉の額にもう一度キスをした。
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