第三章 初体験

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 独りで寝酒を飲んだ芳樹は、今一度寝室へ入った。  奥のベッドには、人ひとり分の凹凸が見える。  照明は柔らかい橙色のルームランプだけで薄暗かったが、それで不自由な事は無かった。  青葉の隣に腰を下ろし、寝具をめくって自分もベッドへ潜りこむ。  背中を向けて横になっている青葉の髪を一房すくい、その良い香りを吸ってから瞼を閉じた。 「芳樹さん……、まだ起きてますか?」  しばらく後に、小さな囁きが聞こえた。  背中を向けていた青葉が寝返りを打って、こちらへ身体ごと顔を向けてきた。  心細い響きを持つ、密やかな声。  寝たふりを決め込むには、放っておけない声音だった。  そこで芳樹は、できるだけ優しく返事をした。 「ああ、起きてるよ」  しばらく、間が開いた。  眠ったのかな、と思いきや、逆に眼の覚めるような言葉が返ってきた。 「抱いてくれませんか」 「いいのか?」  身体を抱いた手で背中をさすってやると、おずおずと彼も芳樹の背に腕をまわしてくる。  すっかりその気になってしまった芳樹は、手を背中から腰へ降ろし、さらに形の良い丸みを撫でまわした。  途端に、びくんと青葉は跳ねた。  その反応がやたら可愛く、甘い吐息と共に唇を重ねようと顔をずいと近づけた。
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