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思ったままにオーナーの
ことを誉めちぎってると、
将は「そうですね。」
とゆったり相槌を
打ってくれる。
私はペラペラと興奮
冷めやらぬ状態で
なおも話し続けた。
―――――――すると。
「あずさ先輩?
お話もいいですけど、
もう少しゆっくり
歩きましょう?」
将がいきなり、
こんなことを
言ってきたんだ。
そういや私、
テンションあがると
どんどんどんどん歩いて
いく癖があるんだった!
慌てて将を見ると、
将は少し寂しそうに
苦笑いしてる。
・・・・・・・・あれ。
ねぇ、
私、今もしかして
あんまり将にとっては
面白くない状況を
作ってた?
ここにきていきなり
冷静になった私は
自分の行いを速攻で
振り返ってみた。
そもそも、
私、実は将にあんまり
進路のことで悩んでるって
話してなかった。
だって考えると気が
滅入るし。
楽しい話題じゃないから
わざわざ将に会ってる時に
話す事じゃないと思ってた。
それに、
将が年下だから、
相談してもなぁ、
って考えてたのは
否めない。
それなのに、
彼氏を差し置いて
他の男にはバンバン
聞いて、
さらに誉めまくるなんて、
将からしてみれば
面白くないんじゃ?
『俺には話さなかったのに』
って思われても
おかしくない。
私は途端に慎重的な
態度になって、
将に話しかけた。
「将さ、
ちょい怒ってる?」
「えっ、
何をです?」
将は首をかしげると
不思議そうに私の顔を
見てくる。
え、
本気でわかんないのか?
私はまたオズオズと
口を開いた。
「いや、
だって私、
将にはろくに相談せずに、
別の男の人頼ってた
わけだし・・・・・・」
別の男っつても
ただのオーナーと
大阪弁のアホだけどな。
将は私の言葉を聞いて
しばらく目をパチクリ
させてたけど、
すぐにクスッといつもの
余裕の笑みを浮かべた。
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