それとこれとは話が別や

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逢坂オーナーの言葉に なんやさっきまで偉そうに 瑠璃ちゃんに説教めいた ことを言うてた自分が 恥ずかしくなった。 いざアドバイス通りに 相手が動くとそれに ビビるやなんて、 他人にアドバイス する資格ないよな。 「反省やわ・・・・・」 俺が頭を抱えると、 逢坂オーナーはちらっと こっちに目線を送って、 フッと笑った。 「まあ実際にアドバイス する時に責任云々を 考えながら喋ってる人は なかなかいないだろうけどね。 ま、 大丈夫だよ、 椋橋くん。」 逢坂オーナーの、 大丈夫って言葉を聞いて、 俺は思わず顔を上げた。 何が大丈夫なんや?? 「大丈夫って、・・・・」 「瑠璃ちゃんのこと。 瑠璃ちゃんの良いところは 決心したらそれに向かって 努力できるところだから、 きっとこれから、 かなり大変だろうけど、 何とかしていくはず。 僕はそう考えてるよ。」 逢坂オーナーの言葉には 迷いがなくて、 あーこの人、瑠璃ちゃんの こと信じてはるんやなって、 そう思えた。 なんでそんな自信 持てるんやろう。 「・・・・えらい 自信ありげですね、 逢坂オーナー。」 「ん? そりゃもちろん。 僕がバイトに選んだ 子だもん。 瑠璃ちゃんのこと、 信じてる。」 『逢坂オーナーは 自分が気に入った人 しかバイトに入れない』 ああ、やからか。 この人、自分の選択に 自信と責任もってんねや。 やから、こんな 堂々としてられるんや。 逢坂オーナー、 やっぱ大人やなあ。 おんなじ男として 尊敬する。 「・・・オーナーには 敵いませんわ。 ムカつくけど男前。」 「ムカつくって 余計だなあ(笑) 敵わないとかそんなの 考えなくていいよ。 椋橋くんには椋橋くんの 僕にはない良いところが あるしね。 もちろん、瑠璃ちゃんや あずちゃんにもそれぞれ 良いとこがあるよ。 それに悪いところも。 今回の件であの二人の 短所がかなり明確に なったけど、 そういうところはこれから 徐々に治してけばいい。 あの子たちなんて、 まだ高校2年生で、 17歳なんだから今から いくらでも成長できる。 今のうちから完璧な 人間なんていないんだから 焦る必要はないよ。」 逢坂オーナーはそう言うと チラッと自分の腕時計を 確認しよった。
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