制服は着れるうちに着とけ

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・・・・長い休みで  何するか? 「・・・・遊ぶ?」 「・・・・旅行?」 私と須藤さんが 自信なさげにポロポロ 自分の考えを述べると、 逢坂オーナーはうんうんと 優しく頷いた。 「そうだね、 そういうこと したくなるよね。 めいいっぱい やればいいと思うよ。 あのね、 大学生の間だけなんだ。 こんな長い休みが とれるのは。 それに授業も自分の 好きなように組めるし、 わりかし自由な時間が 多い。 大学生は この時間を使って、 力一杯遊んで、 興味の湧いたことや、 チャレンジしたいことに どんどん挑戦することで、 人脈を広げて、 新しい力や経験を 身につけて、 その中で、自分が どんな人間なのか、 向いてることは 何なのかを模索する ことができる。 これはすなわち 自分を知ることだ。 それが『自分』という 人間に厚みを持たせて、 将来就職する時に、 職業選択の参考に なると思うんだ。」 逢坂オーナーはここまで 言うと、ふっと、 私の方に視線を向けた。 「だからあずちゃんの言う 『大学にいく意味が あるかないか』 は、 その人次第だと思うよ。 意味もなく単位だけ 取ってれば、 そりゃ学歴がついただけで あんまり意味はないかもね。 意味を見つけたいなら、 いろんなことを 経験しなさい。 大学生にはそれだけの 自由がある。 たくさん遊んで、 いろんな人と関わるのも いいことだし、 海外旅行にいけば、 その国の文化や言語を 学ぶことができるし、 ボランティアをすれば、 福祉の現状を知ることが できる、 他にもやれることは いっぱいあるよ。 やって無駄なこと なんてない。 全部ちゃんとした経験だ。 そうした環境が 成長の鍵じゃないかな。 ただ本にかじりついて 勉強してたって、 所詮は机上のこと。 やりたいことを 思う存分して、 それが将来の自分の 糧になるんだ。 だから、 大学にいくことを 意味がないことだって 思わないで? 大学進学は経験から 自分を知るチャンスだ。」 自分を、知る・・・・ 逢坂オーナーの話に 自然と胸がドキドキした。 逢坂オーナーの話を 聴いた今、 大学がすごく魅力的な ものに見える。 今の私が就職するより、 大学でいろんなことを 経験して知った私の方が、 しっかりした就活が できるんじゃないかな。 隣で須藤さんも しっかりとオーナーを 見つめて、ごくりと、 唾を飲み込んでいた。 私、 やっぱり進学したい。
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