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「おじぞーさん、あしたもいこうね」
「そうだね」
娘の言葉に頷きながらとん、とん、とリズムよく胸元をたたいていると、公園でたくさん遊んで疲れたらしい娘はすぐに健やかな寝息を立て始めた。
その寝息に、急激に私自身も眠くなる。
とっても疲れていたのだろう。
こういう時は抵抗せずに沈んでもいいか、と無意識に思った次の瞬間、私は眠りの世界へと沈んでいた。
――ふと、目を開けると。
手の中に、娘の拾った丸い石があった。
あれ、どうしてここに、ああ早くしまってあげなきゃ……と思った瞬間、石に顔が現れた。あのお地蔵さんとそっくりな、線だけで描いたような細目と細い口だけの顔が。
「わしはぐちききじぞー、っちゅー神様や」
細い口がぱかりと開いて話し出す。弧を描いていた線が円になってその形を変えるだけの動きに、私はぽかんとしていた。
思ったのは、やけになまりがひどい神様だな、ということぐらいだろうか。
「あんさん、子どもがいるとこやと吐けんゆーたやろ。ほれ、今こそその時じゃ。ゆうてみ。なぁんでもきいちゃる」
昼間の私の言葉のことを言っている、と認識した瞬間“あ、これ夢か”と急に理解した私は、「ええと」と思い悩んだ。
急に言われても、咄嗟に思い浮かばないものだ。
「……ええ、と、んー……幸せが、わからない?」
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