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『フェイトの森で』は、R指定の乙女ゲームで少し男性向け要素もあるという事で男女共に人気のあるゲームだ。
かくゆう俺も友人の勧めで、このゲームをプレイした一人である。
基本的には、主人公のヒロインが複数の男性キャラの好感度を上げて、合間にデートやHイベントを経て最終的に結婚するという内容だ。そこに独自の戦闘システムとヒロインがエロ可愛いという要素が加わっている。
どうやら俺は、このヒロインの妹のようだ。
万が一にもヒロインに転生してしまっていたら、大惨事だったが妹の方で心底安堵している。
ヒロインに成ろうものなら、複数の男から言い寄られ、なかば強引にSEXをする羽目になるところだった。
確か、BADエンドルートで妹との3Pエンドがあったが、他は殆ど登場しないし、変なエロイベントに巻き込まれる事もない。
というか、確かゲーム開始早々に俺は年上の騎士に嫁がされてしまうのだ。
ヒロインの友人の男で、試合に優勝した褒美とかなんとかでの政略結婚。
「今日は大事な日なのに…急に倒れるんだもの。そんなに嫌だった?嫌ならお父様に中止させて貰ってもいいのよ?」
エリーゼが俺の頭を心配そうに撫でながら、顔を覗き込んでくる。
「10歳で婚約者を決めるなんて、馬鹿げてるわ!」
なんと、ユリーちゃんは10歳だったか。
あんまりキャラの詳細は気にしてなかったけれど、改めて聞かされると10歳の3Pをぶっ込んでくる乙女ゲームってなかなか冒険しているな。
いや、それよりも…“今日”だと?
それはマズイ。中止して貰っても、結局は同じだ。マズイ。嫁がされてしまう。
BADエンドにならなかったとしても、結婚してしまったら最後、いずれは夫婦の営みをする流れになってしまう。
なんとか回避せねば!
考えろ。考えるんだ。なんだっけ? えーと、ヒロインが同じシチュエーションでとった行動は……あ!
「エリーゼ姉様!」
「わっ、どうしたのユリー? いきなり大声出して…」
「お、わ、私、まだ結婚は嫌です。だから、エリーゼ姉様……エリーゼ姉様の剣と防具を貸して!?」
「え!?」
政略結婚が嫌だったヒロインのエリーゼは、試合で男達を打ち負かしたルートがあった筈だ!
エリーゼの場合は、モンスター退治とかでレベルを上げていたから勝てたが、もちろんユリーはそんな修行などしていない。
正直、勝てる見込みはゼロだ。
だが、今回は勝つ事が重要ではない。
エリーゼの時も優勝しなくてもフラグはきちんと折れていた。要は、試合に参加する事で相手に死んでも結婚したくないとアピールする事が大事なのだ!
「ユリー……それは本気なの?」
「はい!」
「分かったわ、ユリー。お姉ちゃんはユリーの味方だから! でも、無理はしないでね?」
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