ランブル

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  「うっちー、俺、うっちーといる時が一番面白い。好き」  その日、いつもとおんなじ屈託ない笑顔で真惟(まい)は言った。 「そーゆーセリフは彼女にでも言え」と我ながらぶっきらぼうに答えたけれど、心臓はバクバク煩かった。  真惟は俺の中学からの親友。  いつ芽生えたのかも解らない、親友相手に抱えた密かな想いを心の奥底にしまい込み、俺は生まれ育った町を出る筈だった。 「うっちー、大学卒業したら帰って来てよ」 「そんでさー。二人でアパートかなんか借りて一緒に住もうぜー」 「毎日二人でゲームしてさー」 「あ、俺、家事得意だけど交代制なー」  いつもとおんなじ調子で降って来る言葉が脳内に溢れて耳鳴りがする。  ドクドク、ドクドク、体じゅうが心臓になったみたいだ。 「あとさー」 「真惟」  いつもとおんなじ俺の右側に居る真惟に覆い被さるように顔を覗き込むと、真惟はまた屈託ない笑顔を向けた。警戒心の欠片もない。 「うっちー、俺」 「好き」 「え」 「真惟が好き、中学の頃からずっと好き」  思いも掛けないタイミングで告白してしまったのは、高校の卒業式の日の話。
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