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俺の髪は極めてありふれた金だったが、所どころに濃い色ムラがあった。
癖があるので跳ねない程度の長さに伸ばしていた。
門倉のは青く見えるほどに濃い黒の色だった。
癖はまるでなく真っすぐだった。
これらも『東の血』の特徴だった。
俺の目は抜けるような青空のようではなく、曇り空のように灰色がかっている。
特に大きくもなく、又細くもない。
父の目は瞳が水色に近く細かったので、母のに似たのかも知れない。
高く筋が通った鼻は父にそっくりだった。
――傲岸不遜の象徴のようで、見ていて嫌になるほどに。
俺は母の容姿を実際にはおろか、記録上でも見たことが一度もなかった。
これは別に俺に限った話ではない。
α同士の交配で産まれた者では特段にめずらしいことでもなかった。
ここ、サルデス共和国を含む今のアポカリプシスに生きる人間の大半には自分を産んだ母の記憶がない。
しかし、記録は確かに存在する。
遺伝子上での近親相姦、交配を回避するためだった。
『兄弟』と言えば孕ませた側の、父親が同じ者同士を指す。
絶対数が少ない受胎可能な者たちは体制の管理下に置かれるのが通常だった。
αであろうとΩであろうと変わらない。
比較的受胎向きだと判定されれば、αと言えども妊娠が推奨される。
――すなわちそれは他の仕事に従事しにくくなることを意味していた。
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