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弁明したつもりだったのに、なぜかさらに村西は馬鹿にされた。
「当たるかどうか分からなくないよ。馬のコンディション、前走の結果、競馬場の好み、ジョッキーとの相性、天候と馬場の状態。どれをとってもほぼ100%ビッグチェイスがくるはずだったんだよ。だから、俺は実質掴みかけた30万を失ったも同然なの。分かる?」
村西は必死に自分が馬鹿でない事を証明しようとした。
「100%くるって、実際来てないじゃないですか。大体、5万も賭けちゃって、生活大丈夫なんですか?」
田中はあきれたように村西を嘲笑すると、村西の痛いところをついてきた。
「いや、まあ、だからムカついているんだろ。お前はたかが競馬だっていうけど、生活かかってんだから、腹だって立つよ。」
だんだん、競馬で負けた怒りに、田中に馬鹿にされた怒り乗っかってきた。
「あんまり怒ると、血圧が上がって健康に良くないですよ。」
田中は透かしたように言った。
「そうかも、知れないけどよ、腹立つ時は腹立つんだからしょうがねえだろ。」
人生経験のまだ浅い若造の田中には理解のできないあれこれが、村西くらいの歳になればあるものだ。
「じゃあ、こんなの知ってます?腹の立たない方法。」
突然、田中がそんな事を言った。
「腹の立たない方法?何それ?」
突然の会話の展開に、村西は面食らった。だが、村西もできる事なら健康でいたいので、田中の話を聞く事にした。
「何にも期待しない事です。」
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