1人が本棚に入れています
本棚に追加
田中が休憩室の時計を見た。
「あ、そろそろ時間ですね。仕事に戻りましょう。」
田中のその声で二人は席を立った。
その時、村西の足がテーブルに引っ掛かり、テーブルを揺らした。そして、その揺れはテーブルの上に置いてあった田中の缶コーヒーを揺らし、その缶コーヒーの揺れは、一滴のコーヒーの飛び散りを生じさせた。
「何してんだよ!気を付けろ馬鹿!マジ、どんくさいな。」
田中は突然、声を荒げて怒ると、足早に休憩室を出て行った。
怒って休憩室を後にする田中の背中を見ながら村西はこんな事を思ったのだった。
「怒らない方法を知っている人間が、怒らないとは限らない。」
最初のコメントを投稿しよう!