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 次の日、誠也はいつもより早く目が覚めた。  疲れていたのか、まったく夢を見なかった。  支度を済ませ、リビングへ向かうと母親が慌ただしく二つの弁当を準備している姿が見えた。  「おはよう。早いね」  「おお。なんか目、覚めた」  「あ、余裕あるならお弁当包んで。芳樹の分も」  「あい」  母親に言われ、誠也は自分と弟の分の弁当をナフキンで包む。  「あのさ」  「何さ」  「昨日の話なんだけど」  「え?」  「……ほら、その、同居の」  「ああ。何⁉︎ 考えてくれたの⁉︎ 」  急に声のトーンが上がった母親の質問に、誠也は照れ臭そうに頷いた。  「一応、その、やってみよーかと。あ、嫌になったりウザくなったりしたら、すぐにやめるからな!」  「ありがとーっ! 誠也ーっ」  母親は両手を上げて喜びながら誠也に抱きついた。  「や、やめろよ」  「お母さんや芳樹に会えなくて寂しくなったら、いつでも戻ってきていいからね」  「大丈夫だし」  「で、早速なんだけどね」    母親は、誠也の身体から素早く離れると、ニコニコしながら彼を見た。  「今日学校終わってから、速攻行ってくれる?」  「………。は?」  「あ、誠也の携帯に地図送っといたからっ」  「は? ちょっと! え? は?」  「ごめん! 誠ちゃん、お母さんもう行かなきゃ! 行ってきまーす」  「おい! 」  (くそ、あんな嬉しそうにしやがって!俺、実は愛されて無かったりして……)  少しして、テレビを見ながらダラダラとパンを食べている誠也のもとへ、母親からのLINEが届いた。  今日、放課後から彼の住まいになる場所の地図と、メッセージだった。  【誠ちゃん、あの子のこと、タイプだったんでしょ】  【愛してるよ。誠ちゃん。行ってきます!】  誠也は頭に二つ、ムカつきマークが付いた。        
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