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 「うあぁぁっ! いった! いって。いてて……」  休日、滝本誠也は同居人が散らかしたブロックを踏み、その痛みに悶えていた。  痛みに耐えている間にバランスを崩し、反対側の足で何やら硬いものを蹴った気がする。  「………。ったく、誰だよこんな所にレゴ散らかしたたままのやつ! ……。誰ってあいつしかいねーか……」  「よっ。誠也。おはよっ!」  小学生男子のような寝癖をつけて、大きな欠伸をしながら同居人、如月茉莉が起きて来た。  「……。おまえ。よっ。じゃねーよ」  「え? どうしたんだよ。そんなうずくまってって……。あっ! あぁぁぁっ!!」  「……るせぇな。……なんなんだよ」  誠也は、まだジンジンと痛みの残った足を押さえながら、起きてくると同時に大声を出した茉莉のほうを見た。  「おまえ、ウチがこの作品作り上げるのにどれだけの時間かかったと思ってんだよ!」  茉莉はすさまじい寝癖を揺らしながら、無惨な姿になったレゴの城の前にしゃがみ込み、再び叫んだ。  「はぁぁ!? 片付けないおまえが悪いんだろ! 」  誠也は片足跳びをしながら茉莉に近付くと、前のめりになって言い返す。  「……え、だって」  「だってじゃねーよっ! おまえ散らかすなら自分の部屋でやれよ!」  「だって、自分の部屋寒いし、狭いし」  茉莉の返答に誠也は顔を引きつらせると、勢いよく茉莉の頬をつねった。  「いででっ! 」  「何が痛いだ! 俺のほうが百倍痛かったっつーの!」  「は? 人の痛みの感じ方なんて人それぞれだろ。それを、当たり前のように自分のほうが痛かったとか、おまえ馬鹿じゃねーか」  「っ! ああ、馬鹿で悪かったな! おまえよりは確実にましだけどな!」  こんなふうなやり取りをする二人が、なぜ一緒に住むことになったのか、話は五日前に遡る。   
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